ドイツトロンボーン名工1
F・A・ヘッケル

ザクセンの誇る名工フリードリヒ・アルヴィン・ヘッケルについて紹介します。

ヘッケルの歴史は、ヨハン・アダム・ヘッケルが1836年ドレスデンに工房を構えることに始まります。当時はバルブ楽器の過渡期でロータリー・トランペット短管他、金管楽器は発展途上中で、現在私達が使用しているような楽器は、まだ確立されいないものもありました。

ヨハン・アダムはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」初演のために、このオペラで使用される木製のトランペットを製作しています。また、幅広のベルクランツの素材に、ニッケルシルバーを使い始め、このようなトランペットのベルを通称:ヘッケルラント(Heckelrand) とも呼ばれるようにもなりました。

初代マイスターの死亡後の1866年に二代目フリードリヒ・アルヴィン・ヘッケルが工房を引き継ぎます。そして、ヘッケルのトランペットがドレスデンタイプとして重要な位置を占めるようになったのは、二代目が1880年に製作したB管ロータリートランペットによりはじまります。

ヘッケルのトランペットは、当時としては非常に優れたもので、高い評価を受けていました。ザクセン宮廷に1880〜1890年にかけて数多くの楽器を納品し、名声を得ました。これにより宮廷から宮廷御用達楽器製作者の称号を受け、エンブレムに王冠マークが彫刻されていました。

宮廷が崩壊した後は、宮廷御用達を意味する彫刻は無くなりました。1929年からF・A・ヘッケル社として名を残すことになります。

また、同じ年にフリードリヒ・アルヴィンの息子テオドール・アルヴィンに工房は引き継がれ、ヘッケル社としては息子が亡くなる1954年までとされています。

ヘッケルの伝統は、アルノ・ヴィンディシュ氏を経て、現在ベルント・C・マイヤー氏が正式に継承しています。

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