ドイツトロンボーン名工2
ハンス・クロマト

ハンス・クロマトの工房は、レッチェやタインがあるブレーメンよりさらに 北に位置するヴィルシュテッドというところに工房があります。ハンス・クロ マトのウェブサイトによりますと、ヘルベルト・レッチェの工房で修業した後 の1976年に独立して工房を設立したということです。

現在トランペット・トロンボーンを中心に楽器製作をしていて、トロンボー ンではMDRライプツィヒのエッカート・ヴィーグレーべ(CL−139)、 WDRケルンのインゴ・ルイス(バストロンボーン)などが使用しているセイ ヤーバルブの楽器に人気があるようです。最近では、バロックトロンボーンの 製作にも取り組むようになりました。

私は直接クロマトの工房を訪ねたことはありませんので、クロマトの楽器を 工房より直接個人輸入した時のやり取りなどを中心に書きたいと思います。

●最初にクロマトのバストロを日本に入れたのは私かも・・・
もしかすると、最初にクロマトのバストロンボーンを日本に入れたのは私か もしれません。クロマトを買おうとした動機は単純です。今から13年前の私 は、とにかくドイツ管に興味があり「色々なメーカーを試したかった」、ただ それだけの動機で買ったのでした。ちょうどバブル絶頂期で私の仕事も調子が いい時代で、R・アダチ、グラッスル、タイン、レッチェ・・・自分の力で購 入出来るものは手当たり次第に注文していたという、今から思うとなんとも景 気のいい時代でした。

ドイツの友人にクロマトのアドレスを聞き、さっそくお手紙で自分が考えた セッティングの見積もりを依頼しました。約4週間後に返事が来て、ドイツ管 2ロータリー・バストロのフル装備でレッチェ・タインの同様仕様よりおよそ 1200マルク安い見積もりが出ました。その他に、オプションについてとア ドバイス的な事も書いてありました。

・クロマトのアドバイス
返事には、セッティングについてのアドバイスが書いてあります。私が見積 りで指定したボアサイズはバイテ5・ベルサイズが27センチでしたが、クロ マトからはドイツタイプにするならば、バイテ4かデュアルにしない方が、ま たベルサイズは25センチにした方が良いということが書いてありました。  当時の私は、ラージベル・ラージボアと楽器のでかさに憧れるところがあり ましたので、クロマトのアドバスは聞く耳持ちませんでした。どんな結果にな ろうと自分のセッティングでオーダーをかけました。

他に面白いことが書いてありました。スライドをヤマハと同じものに出来る とか、ドイツの伝統的な長いスライドではなくアメリカンモデルの長さにも出 来るなどとも書いてありました。

・楽器の感想
発注してから約3ヶ月で無事楽器が到着しました。輸送には国際郵便を使っ たので、関税は別としてその当時としては送料が安く上がりました。諸経費を 含め総額60万くらいに納まりました。その当時レッチェが日本の楽器店店頭 にて80マンくらいしていた時です。

私が購入したクロマトのバストロは、レッチェより比較的ライトで響きの柔 らかさが出しやすいく、アタック感もライトでそこそこ良いものでした。ただ レッチェのような重戦車的なキャラは、強いものではありませんでした。音色 感は、レッチェ・タインの系統でした。

私個人の好みからすると、もう少しマイスターの個性・息吹みたいなものが 強く感じられるといいんですがね。外観的なところで不満なのは、蛇飾りのデ ザインがもう少し高級感あふれるものにして欲しいことと、第2ロータリーか らテナーボーゲンに行く途中に2ヶ所管を折り曲げたレイアウトにしている所 をストレートにしてほしいことです。

最終的には自分の好みの楽器では無いと判断し、買ってから3年くらいして 手放してしまいました。ダクさんへ依託販売で置かしてもらっていたら、この 楽器がプロに受けたらしく、それをきっかけにバスとコントラバスをダクさん が多く扱うことになったようです。

面白いことにトランペット(特にピッコロトランペット)は、山野楽器さん 経由が多いようです。

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